こんな人におすすめです
- 人間関係の悩みを抱えている方
- 自己否定や劣等感に苦しんでいる方
- 管理職として部下やチームとの関係に悩んでいる方
- 40代になり、自分の人生を見つめ直したい方
- アドラー心理学に興味があるが、具体的にどう実践すればいいか知りたい
「幸せになる勇気」(岸見一郎・古賀史健著)は、アドラー心理学を実生活にどう適用すればいいかを解説したベストセラー「嫌われる勇気」の続編です。本書は、特に人間関係や自己成長において、実践的な方法を学びたい人に向けて書かれています。課長という立場で、課員の成長を促しながら、同時に自分自身も成長しなければならない現実に直面している私にとって、この本は大いに示唆を与えてくれました。
こんな人におすすめです
- 自分の価値観を尊重しながら他者と調和する方法
- 人間関係のストレスを軽減し、心地よい距離感を作るヒント
- 人生の目的を「自己実現」から「共同体貢献」へとシフトする視点
- 日常生活での課題に取り組む具体的なアプローチ
- 真の意味での「幸せ」の条件についての深い理解
幸福とは「他者との共同体感覚」にある
本書で最も重要な概念の一つが「共同体感覚」です。アドラー心理学によれば、幸福は「他者とのつながりの中で感じるものであり、孤独の中では実現しない」と説かれています。
課員との関係における共同体感覚
課長として、課を引っ張っていく立場では「褒めて伸ばす」のが大切といった認識を持っていました。しかし、本書では褒める・叱るといったことはしてはいけないと述べられています。なぜなら、行動の目的が褒めてもらうこと、叱られないことになってしまうからです。
課長はあくまでもただの役割に過ぎず、対等な関係として課員と関係を作っていく必要性を説いています。
人間関係の悩みを解消する「課題の分離」
もう一つの核心的なテーマが「課題の分離」です。アドラー心理学では、他者の課題に干渉せず、自分の課題に集中することが推奨されます。
課題の分離を仕事で活用する
たとえば、課員に頼みにくいと感じている業務を依頼しないといけない場合があると思います。
この場合、依頼しにくいと感じているのは自分ですが、実際に依頼されてどう感じるかは課員次第になります(課題の分離)。
こうした点は、自分の中で思い悩んでいても何も解決しないため、割り切って依頼をしていく勇気が大切と考えています。
幸福を妨げる「承認欲求」の克服
アドラー心理学では、「他者からの承認を求めない」という強いメッセージが繰り返し述べられます。周囲からの評価に囚われることで、本当にやりたいことや価値を感じることよりも、他者から認められることを優先してしまいます。これは決して正しいこととは思えません。
承認欲求と管理職のジレンマ
管理職になると、「課員に好かれたい」「上席に認められたい」という思いが強くなる一方、厳しい判断を求められる場面も増えます。本書は「自分がどう見られるか」ではなく、「自分がどうあるべきか」という意識を持ち、実行していく勇気を教えてくれます。
本書の構成と読みどころ
本書は、前作「嫌われる勇気」と同じく、青年と哲人の対話形式で進行します。哲学的なテーマに加え、具体的なシチュエーションや例え話が豊富に盛り込まれているため、理論を実践につなげやすいのが特徴です。
特に心に残ったポイント
愛とは「決断」である(265ページ)
前作「嫌われる勇気」の中で、アドラー心理学は「勇気の心理学」と紹介されていました。
ここでの「勇気」とは何か?
それは、「決断する」勇気です。
たとえば、こんな決断。
- 相手を信用し、信頼する決断
- 強要ではなく、勇気づける決断
- 嫌われる勇気を持ち、自由になる決断
- この人を愛し、共に歩む決断
この本を手にとる方の多くは、おそらく対人関係に悩んでいると思います。そんな方にとっては「理想論すぎてマジ無理!」と思う内容も多いかもしれません。
一方で、述べられている感覚・倫理観・道徳観は、「これが理想の対人関係だよな」と感じるものが多いです。
まとめ|「幸せになる勇気」が教えてくれること
「幸せになる勇気」は、アドラー心理学のエッセンスを日常生活に応用し、より充実した人生を送るための道しるべとなる一冊です。家族や職場の人間関係に悩んでいる方にとっては、大きなヒントを与えてくれるでしょう。
ただし、この本を読めば魔法のように問題が解消されるわけではありません。
あくまでも主体は自分で、自分から変わる決断を提示される内容となっています。